かてごと帖

鱒ずしとからこ

鱒ずしとからこ

冬の保存食「鱒ずし」を教えてもらおうと
山形県西置賜郡小国町へ。

魚と米を使った料理を「すし」と呼ぶのだけれど、
それは確かに「すし」だった。
何日も保存でき、
みんなをもてなす正月料理だった。

鱒ずしとからこ

つくり始めるのは12月の28~29日。
たっぷりつくって、
元旦から家族や親族と一緒に食べる鱒ずし。

地元のスーパーで買った塩漬けの鱒を
1~2日ほど酢に入れる。
「酢締め」することで、殺菌効果が増す。

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鱒の皮も剥がれやすくなる。

鱒ずしとからこ

この「すし」は鱒だけでなく、
鮭を使ってもつくれるが、
千賀子さんの答えはノー。
「鮭だと脂っけが足りない」のだそう。
鱒の脂はうま味があって、全然違った味わいになる。

鱒ずしとからこ

千賀子さん宅には、鱒ずし専用のタライがある。
野菜やきのこ、そして鱒をたっぷり入れ、

鱒ずしとからこ

さらに麹を入れてよく混ぜる。

鱒ずしとからこ

両手をタライの底に入れ、
ザックリ、ふわっと、何度も混ぜる。

鱒ずしとからこ

味見するのはキャベツか汁、
そして塩の量を決める。

「鱒ずし」とは野菜と一緒に、米麹を入れて発酵させた
「なれずし」のこと。
麹の力で、ほんのり甘くできあがる。

鱒ずしとからこ

漬物容器で何日か漬け込む。
冬なら常温で。暑い時期は冷蔵庫へ入れる。

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もう1品。
小国地方の甘い食べ物、からこ。
別名「のりもち」ともいう。
焼いたり蒸したりぜず、生で食べる。
こんなスイーツ見たことない。

鱒ずしとからこ

市販の米粉ではなく、この辺り(叶水、かのみず)東部で
取れたうるち米を、粉に挽いてつくる。
米粉よりだいぶ粒子が細い。
「生で食べるがら、
粒が大きいとじょりじょりするべ。
粒が細かい方がいいんだ」。

昔は臼に、洗った生米(なまごめ)を入れ、
杵でついて粉にしたそうだ。とても大変な作業で
「からこつくるのは大変だったのよー」と夫の憲二さん。
昔は囲炉裏や焚き火に入れておけば、外はこんがり、
中身はとろっとして好きだったんだって。

鱒ずしとからこ

うるち米の粉に、
つぶしたくるみ、黒砂糖を入れてよく混ぜる。
水を入れてさらに混ぜる。

鱒ずしとからこ

いつも水を入れるときは、
ニコちゃんマークの付いた
このコップに、これくらいと決めている。

「このコップでないと柔らかかったり、
固かったりで、思うようにいかない」。

我が家の料理って、そういうことあるよね。

鱒ずしとからこ

よく混ぜて、まとめて完成
甘くて優しい味。

鱒ずしとからこ

キッチンの目の前には、
千賀子さんの田んぼや畑が広がっている。
地域の高校生ボランティアの方が
窓拭きをしてくれた。
おかげで晴れた日は、
景色をバックに料理ができ、とても気持ちがいい。

鱒ずしとからこ

この日の鱒ずしには、舞茸と豆腐の醤油汁。

鱒ずしとからこ

そしてウドの粕煮。
塩漬けしてあるウドを二日ほど塩抜きして
煮物にする。
火を止めて酒粕を入れて完成。
千賀子さんはドブロクの酒粕を使っている。

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味噌漬け。

鱒ずしとからこ

そして千賀子さん育てたかぶを使った、
かぶ漬けも一緒に。

鱒ずしとからこ

みんなでいただきます!

鱒ずしとからこ

山里の知恵が詰まった鱒ずし、
キャベツをたっぷり入れると、
鱒の脂がしょんで(染みて)おいしいよ!

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鱒ずし

山形県西置賜郡小国地方で昔から正月や冬に食べられていた保存食。6日ぐらい置くと、よりおいしい。

 

⚫️材料(つくりやすい分量)

・塩漬けの鱒  1尾(3枚おろしにしたもの)
・キヤベツ    中玉2個
・板麹       1袋 (前日にぬるま湯につけ、炊飯ジャーで保温しておく)
・しめじ      1株(1~2パック)
・舞茸       2~3株(4パック)
・乾燥キクラゲ  25g
・にんじん     2本
・塩        大さじ4(味見しながら、少しずつ加えても可)

⚫️つくり方

1.鱒を(上身、下身、中骨と)三枚におろす。中骨は身がついたままにする。それを1~2日間、酢に漬ける。

2.鱒の皮を剥ぎ、骨を取る。

3.鱒を切る(切り身にする)。

4.キャベツを4~5㎝のザク切りにして、塩を振り、軽く手でもんで水分を出す。にんじんは小さくない方がおいしい。薄切りで長さ2㎝くらいに切る。きくらげはぬるま湯で戻してから、ゆでる。きのこは全てほぐして、軽くゆでる。麹は前日にお湯につけて炊飯ジャーで保温し、ふやかしておく。

5.大きなタライやボウルにキャベツ、きのこ、にんじん、鱒、全て入れる。

6.材料にふやかした麹を入れてよく混ぜる。塩を少しずつ入れて味を整える。
塩味は濃くしてしまうと戻せないので、一旦30分ぐらい置いて再度味見をして慎重に塩を入れる。

7.よく混ぜ、味が整ったら漬物容器に入れて冷蔵庫に保存(漬け物器が無い場合は、水を入れたビニール袋などを上に置く)。漬けて2日ぐらいからはおいしく食べれるが食べごろは漬けて6日ごろ。

8.盛り付ける際は、まず漬物汁を別の容器に取り出す。必要な分を取りだしたら、
漬物汁をまた漬物容器に戻す。保存の際は、鱒ずしが必ず汁に浸かるようにする。
この汁がおいしさの秘訣。

からこ

うるちの粉を使った生米のお菓子。冷凍しておけるのでお客様がいらしたら、自然解凍しておもてなしが出来る。素朴な優しい味わい。

⚫️材料(作りやすい分量)
・うるち米の粉(うるち米を挽いたもの)1升
・くるみ    180g
・黒砂糖    750g
・水       60㏄

⚫️つくり方

1.くるみを潰す。

2.うるちの粉に黒砂糖とくるみを入れる。

3.よく混ぜる。

4.水は様子をみながら少しずつ加え、粉をまとめる。

5.漬物袋(厚手のビニール)に混ぜた粉を入れ、さらに良く混ぜる。足で踏んでもよい。

6.粉っぽさがなくなり、ひとかたまりになったら完成。

7.小分けにして冷凍もできる。

教えてくれた人/須貝千賀子さん

小国町叶水在住。近くに基督教独立学園があり、近隣には宿泊や飲食ができる施設がないため、学園の関係者の滞在をサポートしてきた。山菜を使った料理はもちろん、天火(オーブン)でつくる洋菓子なども得意。

 

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