かてごと帖

あけびの肉詰め

あけびの肉詰め

10月、山形県西置賜郡小国町、千賀子さんの畑。

あけびの肉詰め

ナラの木に菌床(きんしょう)を打ったものを畑に埋めている。
9月~10月になると、ニョキニョキと舞茸が出てくる。
「今は熊が出るからなかなか山にも行けないべ」

あけびの肉詰め

食べたとき、じょりじょりすると
気分が悪いから、舞茸は割ってよく洗う。

あけびの肉詰め

あけびの時期もあとわずか。
今日はあけびと舞茸をふんだんに使って。

あけびの肉詰め

あけびの肉詰め。
千賀子流は簡単なのに、
中身が飛び出ない。

あけびのほろっとした苦みが体にいい。
春先に食べる、あけびの新芽・萌え(もえ)も
身体にいい。

あけびの肉詰め

中身を炒め、
水溶き片栗粉をからめるやり方は、
義理のお姉さんが教えてくた。

お姉さんはもっと硬くするそうだが
千賀子さんはふんわり、からめる。

あけびの肉詰め

中身をあけびに詰めて

あけびの肉詰め

切り口を横にし、フライパンに
ぎゅうぎゅうに詰める。
中火でじっくり蒸し焼き。

ぎゅうぎゅうにすると、あけびの口を糸で縛ったり、
ようじなどで閉じなくても焼ける。

あけびの肉詰め

焼いてる間に、とりたて舞茸を使ったもう一品。
舞茸ぶかし。舞茸のおふかし。

あけびの肉詰め

「おふかし」とは「おこわ」のこと。

しゃもじで押して、
ざくっとした
米粒の感じがしなかったら、炊き上がった証拠。
これがとっても大事。

あけびの肉詰め

ボンっ
もち米を取り出し

あけびの肉詰め

そのあと、具材の煮汁をぶって(混ぜて)
さらに蒸す。

あけびの肉詰め

こちらは舞茸を使った醤油汁。
舞茸の出汁がたっぷり出てる。

あけびの肉詰め

舞茸の味噌漬け。

味噌に麹、ザラメも入れて
味噌床を作ったもの。

舞茸、昆布、ミョウガ、にんじん、大根。
漬けたあと、大根やにんじんは味噌を洗っても
水っぽくならないけど、
昆布や舞茸は水っぽくなるので、
サラシや手拭いで袋をつくり、それに入れて味噌床に入れる。
そうすると洗わなくても食卓に出せる。

あけびの肉詰め

あけびは片面焼けたらひっくり返し、さらにもう片面。
両面焼くだけで、中身も蒸れて火が通る。
少しぐらいこげてもok。

あけびの肉詰め

あけびの肉詰めの完成。
肉厚なあけびと、肉、たまねぎが
一緒になると、なんておいしいんだろう。
あけびの苦さもやわらいで、子どももぱくぱく食べれる。

今日のメニューは舞茸ぶかし、舞茸の醤油汁、舞茸の味噌漬け、粕漬け、丸なすずけ、大根葉のしょっぱ煮、塩味のおから。

なんて豊かな食卓。

あけびの肉詰め

米粒がつやつやピカピカ、もっちり。

小国ではおふかしに、くるみはつきものだそうで、
舞茸ぶかしには、くるみをかけてどうぞ。

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あけびの肉詰め

山形全域でつくられる郷土料理。あけびの姿焼き、油焼きともいう。あけびの中にかのか(すぎひらたけ)や舞茸などをはさんで、焼いたり炒めたりする。あけびの苦みが味噌やきのこ、油と相性がいい。

 

⚫️材料(4人分)

・あけび 8〜10個
・豚挽肉 170g
・たまねぎ 1個
・舞茸(他のキノコでも可) 1.5袋
・味噌 50g
・砂糖 60g
・片栗粉 大さじ2
・油(炒め用)

⚫️つくり方

1、あけびは中身を取り出して洗う。

2.玉ねぎを大きめに切る。舞茸を食べやすい大きさにほぐす。

3.挽肉、玉ねぎ、舞茸をフライパンに入れて、油を少し入れて炒める。

4.少ししんなりしてきたら砂糖、味噌を入れる。

5.火が通ったら水溶き片栗粉を入れて絡めて、中身(餡)が完成。

6.あけびの中に、5を入れる。

7.中身を詰めたあけびを、フライパンに並べる。フライパンにぎっしり詰めると煮崩れしない。蓋をして強火から中火で蒸し焼きにする。片面15分くらい。

8.片面焼けたらひっくり返す。中火にして焼く。もう片面は先ほどより短くてもOK。両面焼けたら完成。

舞茸ぶかし(舞茸おこわ)

粒感がしっかりしたおふかし。やわらかいのが好きなら、汁の量を増やしたり、あたため直すときに、水や酒をふってみて。

⚫️材料(10人分強)

・餅米 1升6合
・油揚げ 4枚
・舞茸(他のキノコでも可) 1.5袋
・にんじん 1本(小さめ)
・だし醤油 適量(味がしっかり付くぐらい)

⚫️つくり方

1.餅米を一晩水につける。

2.舞茸や油揚げを食べやすい大きさに切る。にんじんは千切り。

3.だし醤油で2の具材を、味がつくまで煮る。

4.3をザルに入れ、汁気を抜く。汁は捨てずに取っておく(後で使う)。

5.餅米に汁気をきった4の具を混ぜる。

6.蒸し器に濡らした蒸し布を敷いて、そこに5の餅米を入れ、平らにする。蒸し布で蓋をして、蒸し器の蓋もして、強火で30分蒸す。

7.30分位たったら、しゃもじでザクザクしたところがないか調べる
(生米が無いか確かめる)。

8.生米の部分がなかったら火を止めて、餅米を別の容器に蒸し布ごと取り出す。

9.蒸し布を外して、4で取っておいた具の煮汁をご飯茶碗2杯分振りかけて、よく混ぜる。(煮汁が茶碗2杯分より少なかったら水や醤油を足す)。よく混ぜたら蒸し器に戻して、再度蒸す。じっくり温める程度蒸して完成。再度、蒸すことで、ふわっとする。

※出来上がりが硬いと感じた場合は、煮汁を茶碗2杯半にしてみる。

⚫️教えてくれた人/須貝千賀子さん
小国町叶水在住。近くに基督教独立学園があり、近隣には宿泊や飲食ができる施設がないため、学園の関係者の滞在をサポートしてきた。山菜を使った料理はもちろん、天火(オーブン)でつくる洋菓子なども得意。

 

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