山にんじん
うふふ
げらげらげら
うわっはっはー
山笑う。
里の桜が咲いて、山の桜も咲いて
山の木々が、それぞれの色で芽吹いた。
雪国にも、愉快な季節がやってきた。
今日は山形県長井市にある
「農家れすとらん なごみ庵」へ。
庭には、すももの木、
店の前には山桑の木がある。
昔は山桑の実も、おやつとして食べたんだって。
自家栽培の米と野菜、
地元長井の食材でつくられる、なごみ庵のランチ。
切り盛りするのは店主の菅野ちゑさん、
運営パートナーの髙橋三枝子さん。
今日は山にんじんを収穫して、調理をお願いした。
まず、しいたけ栽培をした際に、
日陰をつくるために植樹した、欅の下へ。
木々の下に、山にんじんのやわらかい葉が
ふさふさと茂っていた。
山で採った山にんじん一株ほどを、
欅の下へ植えると毎年、
群生するようになったんだって。
山にんじんを摘む。
山にんじんの特徴は、スースーする爽やかな香り。
「たかくらにんじん」「シャク」とも呼ばれていて、
葉がにんじんに似ているから
「山にんじん」なんだって。
「おひたしや切り合えには若い葉を、
天ぷらには新芽が玉のようになっにところを使う」
と菅野さん。
天ぷら。
新鮮な香りを思う存分に味わえる
切り和え。
そしてこれが、なごみ庵のこの日のメニュー。
天ぷら(麩のから揚げ、おからの春巻き、
手づくり生芋こんにゃく、山にんじん)、
そば粉と行者菜入りのおからだんごの揚げだし、
冷汁、山にんじんの切り和え、
ふきのとうの味噌炒め、
馬のかみしめのきなこ入りの味噌揚げ、
菊芋の味噌漬け、
つや姫のごはん、打豆とだいこんの味噌汁。
そしてデザート。
(なお、季節により食材が変わるため
メニューの変更あり)
これが山にんじんの天ぷら。
置賜地域でかつては、行事食として
食べられていた冷汁(ひやしる)。
旬の野菜のおひたしを使うのだけれど、
今回はくきたち(アブラナ科の花芽のついたもの)と、
山菜のあいこでつくってもらった。
ミックスすると、
それぞれの味が引き立って、おいしんだよね。
山にんじんの切り和えは、
あつあつのご飯にのせてもいい。
菅野さんの育てている翁草も咲いていた。
勝手に出てきたという、山菜のウド。
これから長井は新緑の季節。
淡い木々の緑の中、
ドライブして農家レストランへ出かけてみて。
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山にんじんの切り和え
独特の風味がある山にんじんを、焼き味噌とともに、包丁で切りながら和えたもの。味噌は焼いて水分を飛ばすと、風味がよくなる。
⚫️材料
・山にんじん 適量
・味噌 適量
・くるみ 適量
⚫️つくり方
1.熱湯に、水で洗った山にんじんを入れ、ひと煮立ちさせる(2分くらい)。緑色が濃くなり、茎の部分に火が通ったら、水にとる。
2.水にさらしてから、水気を絞る。
3.2の山にんじんをみじん切りにする。
4.木のしゃもじに味噌を付け、火で軽く焼く。焦げ目が着くぐらい炙ると、水分が飛んで、香りがよくなる。
5.刻んだ山にんじんの上に、味噌をのせ、一緒に切り和える。
6.味見をして、塩味が少なかったら味噌を足す。
7.くるみを上から足し、混ぜて完成。
山にんじんの天ぷら
爽やかな香りのある山にんじん。採れたてだからこその風味のよさを生かして天ぷらに。衣は薄くして、カリッと揚げて。
⚫️材料
・山にんじん 適量
・油 適量
・天ぷら粉 適量
・水 適量
⚫️つくり方
1.山にんじんを洗って、水分を取ってから10㎝くらいに切る。
2.1を水で溶いた天ぷら粉に入れてよくからめ、余分な衣を落としてから、熱した油に入れる。
3.油の中で箸で触ってみて、外側が固まってきたらひっくり変えし、カリッと揚がったら引き上げる。
教えてくれた人/菅野ちゑさん 髙橋三枝子さん
菅野ちゑさん/白鷹町から長井市の専業農家に嫁ぎ、稲作や養豚、しいたけ栽培などを経験。いろんな地域の方と交流を持ちたいとグリーンツーリズムを始める。なごみ庵の料理は、ほとんどが手づくり。ゆっくりのんびりできる、温かな雰囲気で人気。
高橋三枝子さん/山形市出身。川西町在住。以前の職場で菅野さんと出会い、菅野さんを応援したいとなごみ庵の仕事に参加。「子どもたちには手づくりのものを食べさせたい」とさまざまな料理づくりに励み、それをなごみ庵の料理に活かしている。
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