だんご木
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ビンボウ持ってって
カホウ持ってこい
ヤハハエロ
呪文みたいな、願いごとのような不思議な言葉。
だんご木とヤハハエロについて教えてもらおうと
山形県南西部、川西町の小方圭子さんを訪ねる。
この日も雪が降っていた。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2219-1540x1027.jpg)
冷え切った私たちを、ふんわり暖かい空気と圭子さんが迎えてくれた。
圭子さんの家は薪を使った全館暖房システムで、
空気が初夏のようにあったかい。
1つの大きなボイラーで薪を燃やし、水を温めている。
だからボイラー室は、山の木でいっぱい。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2218-1540x1027.jpg)
山を持っている小方家では45年前から、
この完全オーダーメイドのセントラルヒーティングを行っている。
ボイラーに薪をくべてお湯を焚き、
全部屋にめぐらされたパイプが
それぞれの部屋を暖める。
空気そのものが暖まっている。
お湯もやわらかく、体にまとわりつくように温かいのだそうだ。
小方家では、雪の残っているうちに山から
材木を運び出し、夏の間に適当な大きさに切って
乾燥させる。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2249-1540x1027.jpg)
昔からの伝統を大事にしている小方家。
冬の風物誌、だんご木を圭子さんにつくってもらう。
地域の有志でつくった本にもだんご木について書かれていた。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2187-1540x1027.jpg)
だんご木で使うミズキ。
これも圭子さんの裏山から採ってきたもの。
若芽や古い芽などが餅の中に残らないよう
摘み取っておく。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2285-1540x1027.jpg)
小方家がだんご木をつくるのは1月15日。
この日は少し固めに餅をついて食べる。
残しておいたものを、直径3センチほどの大きさに
丸める。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2334-1540x1027.jpg)
それをミズキに刺していく。
ミズキは水をさくさん吸い上げる木。
「火事にならないように」と願いが込められている。
また枝が末広がりに成長するので
縁起が良いとされている。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2254-1540x1027.jpg)
この時期になるとスーパーにも
だんご木の飾りが売られている。
ふなせんべいという。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2346-1540x1027.jpg)
それに和紙を挟み込み
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ミズキにつけていく。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2359-1540x1027.jpg)
色とりどりできれい。
だんご木は小正月の伝統行事。
小方家では、小さなミズキの枝でもだんご木をつくり、
それらのだんご木は、居間やケゴ屋(作業小屋)、車庫などにも飾る。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2381-1540x1027.jpg)
そしてこの日、正月の門松やしめ飾りを集め、
カヤや小枝などと一緒に、燃やすのだそうだ。
その際のかけ声が
「ビンボウ持ってって、カホウ持ってこい
ヤハハエロ」。
これを大きな声で唱える。
「さいと焼き」や「どんど焼き」などとも
呼ばれている。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2432-1540x1027.jpg)
だんご木飾りは、今年1年の福を呼ぶ縁起物。
家内安全、年祝い、学業成就、無病息災、厄払い
火難除け、五穀豊穣、とにかくなんでも全部
祈願する。
ふなせんべいには、えびす様、大黒様、千両箱
宝船、小判めで鯛などの縁起物があり
飾り付けてお祝いする。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_1559-1540x1027.jpg)
山形市内では小正月にカブを神棚に飾る。
「大株主になれますように」という、商売繁盛の願いが込められている。
奥にある「白ひげ」と呼ばれるものは、今のアサツキ。
長寿の願いを込めて同じく神棚に飾る。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_1570-1540x1027.jpg)
山形市で毎年1月10日に開かれる初市。
江戸時代からの歴史があり、ミズキやふなせんべい、カブ、白ひげが売られてる。
通りには、あざやかな色があふれている。
![だんご木](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2024/01/MG_2378a-1540x1027.jpg)
教えてくれた人/小方圭子さん
静岡県生まれ。宮沢賢治と井上ひさしの大ファン。井上ひさしの生活者大学校に参加したことが縁となり、川西町に嫁ぐ。夫の稲作、しいたけ栽培を手伝い、畑では
生活に必要なものを自家栽培・手づくりしている。