かてごと帖

山菜の天ぷら

山菜の天ぷら

桜が花びらを散らすころ。
山の緑が萌えはじめると、心がざわつきます。
「あぁ、山に行きたい。
あの場所のあそこにワラビが、
ゼンマイが出る!
大きくなる前に山菜採りに行かなくちゃ」
山形の春はそういう季節です。

山形県川西町の圭子さん家の裏山でも、
おいしい宝物たちがニョキニョキと顔を出した。

山菜の天ぷら

圭子さんの家は「山持ち=山主」さん。
ご先祖から受け継いだ山と山林を、
田畑を守りながら生活をしている。
自宅のすぐ裏が、山の懐になっていて、
小川がところどころに流れている。

山菜の天ぷら

家から数歩あるいて、コシアブラ。
香りが強い。
この香りがいいんだよね、天ぷらに。

 

山菜の天ぷら

ワラビも敷地内に出てくる。
去年のワラビの枯れた葉っぱが目印。
そのあたりに、たくさん出てくるんだって。

山菜の天ぷら

ゼンマイもあるー。
オトコゼンマイとオンナゼンマイがあり
食べられるのはオンナゼンマイ。
1本1本が茶色い綿みたいなものを着いてる。

山菜の天ぷら

敷地内にはシイタケも。
これは山から切り出したナラの木に、
菌を打ち、栽培をしているもの。

山菜の天ぷら

アサツキ。
ノビルに似ていて、
湯がいてから酢味噌につけて食べる。

 

山菜の天ぷら

カタクリの花もある。
自分の家のまわりにカタクリが咲くなんて、
春先はひときわ鮮やかに咲いてたね。

山菜の天ぷら

そしてタラの芽。
あまり大きくならないうちに採る。

山菜の天ぷら

圭子さん家のタラの木は高いので、
柄が長いのこぎりで、木と芽の間に狙いを定め

山菜の天ぷら

すぱっっ!
切れた。

山菜の天ぷら

山菜を収穫したら、早速仕分けをする。
今日はシイタケ、コシアブラ、
タラの芽を早速天ぷらに。
ワラビはアク抜きしてからお浸しに。

山菜の天ぷら

コシアブラは油に放つと、葉がパッと開いた。
揚げ油がパチパチパチと音をたてる。

山菜の天ぷら

ワラビは穂先を取り、
木灰を使ってアク抜きする。
圭子さんはこの銅鍋がお気に入り。
ワラビが綺麗な緑色になるんだって。

 

山菜の天ぷら

さあ、いただきます。
春の香りをそのままいただきたいなら、
塩でどうぞ。
タラの芽はふっくらして食べ応えがある。
コシアブラは独特の香りがいい。
シイタケはジューシーで、文句なしの美味しさ。

山菜の天ぷら

コンニャク芋からつくった、手づくりのこんにゃくも酢味噌でいただいてみる。
プルプルとやわらかく、何個でも食べたくなる。

こんにゃくを固めるには、
圭子さん家の暖房用ボイラーから
出た木灰を使う。
木灰を一晩水に浸け、
そのうわずみの灰汁を取り出す。
その灰汁を使って固めるのだそうだ。

山菜の天ぷら

アク抜きしたワラビ。
見事な美しいグリーン。
お醤油をかけていただいた。
やわらかいのに、シャキシャキした食感がある。

山菜の天ぷら

夕方になり、外に出ると
ゲロゲロゲロ。
あれっ、もうカエルが鳴いてる。
もうすぐ、田植えが始まり、
圭子さんはますます忙しくなる。

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山菜の天ぷら

採れたての山菜の風味を味わるのが天ぷら。アクの強い山菜でも油で揚げると苦みがやわらぎ、おいしく食べられる。材料にはふきのとう、タラの芽、コシアブラ、コゴミ、ウドの葉、たけのこなどを。

⚫️材料

・油(今回は米油を使用)
・山菜
・天ぷら粉
・冷水、氷

⚫️つくり方

1、タラの芽、コシアブラのガクを取り除く。

タラの芽はガクを取って、根元の硬い部分も取り除く。

 

2、ビニール袋に山菜を入れ、天ぷら粉を入れてシャカシャカ振る。天ぷら粉が山菜全体に薄くつく。

3、ボールに天ぷら粉と適量の冷水(冷蔵庫で冷やしておく)と少しの氷を入れ、混ぜ合わせてから2の山菜を入れる。衣を2度つけるとカラッと揚がる。

4、揚げ油を160度から180度ぐらいに熱して、3の山菜を入れる。

5、油の気泡が小さくなってきたら、油から取り出す。塩や醤油、麺つゆなどをつけていただたく。

ワラビのお浸し

アクが強く、そのままでは食べにくいワラビ。灰や重曹でアクを抜いてから調理して食べる。

⚫️材料
・ワラビ
・木灰または重曹
・熱湯

⚫️つくり方
1、ワラビの穂先を取って茎だけにする。

2、容器や鍋にワラビを並べて木灰を入れる。


3、ワラビが完全に隠れるくらい熱湯を注ぎ、そのまま一晩おいて、冷ます。

4、翌朝その灰の水を捨て、新しい水を注いで半日置く。

5、水を捨て、ワラビを洗ってから食べやすい長さに切る。好みで醤油などで食べる。

洗ったワラビを一晩適量の醤油につけておくとワラビの一本漬けにもなる。濃い味漬けがお好みでしたら、ワラビ全体が醤油につかるくらいに。

注意 木灰に一晩以上つけると、ワラビがやわらかくなりすぎてしまうので、気をつけましょう。

教えてくれた人/小方圭子さん
静岡県生まれ。宮沢賢治と井上ひさしの大ファン。井上ひさしの生活者大学校に参加したことが縁となり、川西町に嫁ぐ。夫の稲作、しいたけ栽培を手伝い、畑では生活に必要なものを自家栽培・手づくりしている。

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