かてごと帖

がま帽子

がま帽子

因幡の白ウサギの話に出てくる、がまの穂。
そのがまの葉でつくる
がま帽子。

がま帽子

夏の必需品、麦わら帽子の代わりに使える
がまの帽子。
夏の日のいち日、無心で編んだ。

がま帽子

葉と葉の間に、隙間が開いてしまったり、
がまの葉の色が違ったりするのも
味わいがあって、なんだか楽しい。

がま帽子

湿地に生えるがま。
8月上旬はちょうどいい硬さだという。
使うのは穂がついている方ではなく、
その近くに扇状に生える葉の部分。
それをカマで刈っていく。

がま帽子
がま帽子

がまの葉脈がはっきり見える。

がま帽子

刈ったがまを
1枚1枚、皮を剥がしていく。
ヌメリがあるので、水で洗って
取り除いていく。
それから2、3日太陽で乾かし、
半乾きになったら家の中へ。

あまり陽にあて過ぎると、
茶色くなってしまうのだ。

がま帽子

しっかり乾けば、がま細工の材料完成。

がま帽子

山形県西置賜郡小国町にあるkegoya
がま帽子を作るワークショップに参加した。
がまは前の晩に水に漬け、
作業する日の朝、水気を切る。

がま帽子

濡れたがまは水分を含み
スポンジ状に膨らんでいる。
これを一気に編んでいく。
乾いてきたら霧吹きをし、
濡れた状態をKeepすれば編みやすい。

がま帽子

編みはじめの参考にした
くるみの皮の小物入れ。
網目を参考にして
細めのがま6本を、
放射状にして編んでいく。
2本組にして、3方向に組んでいく
六角形の編み方。

がま帽子

この斜めに編んでいく編み方はkegoya流で、
そうすることで、バイアステープと同じように
伸びて調整が効くのだという。

がま帽子

編みはじめは、がまの葉の編み目が
どこにあるのかわからなくなり
「迷宮入りしそう」と
笑ってごまかしなるほど難しかった。
大変だったけど、
帽子の形が見えてきて、バサバサの大混乱から
解放され、編むのが楽しくなる。

がま帽子

夏の雨の音を聞きながら編む。

がま帽子

自分好みの高さに調整し、
つばの広さも考え、編み進める。

がま帽子
がま帽子

いよいよラストスパート。
丈夫な縁を作って完成だ。

がま帽子

ビニールやプラスチック製品が
主流になっているけれど、
昔は身近にある材料で
何でも自分たちでつくっていた。

がまの葉細工は、帽子だけでなく、
靴やてんご(作業用の物入れ)も
作っていたようだ。
ほかの物も自分でつくれら楽しいな。

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がま帽子

がま帽子
小国町ではかつて、がまの葉を使ったがまてんご(作業用の入れ物)や敷物などが作られていた。
kegoyaはがまの葉を材料にした帽子づくりのワークショップを開催している。

⚫️材料

・がまの葉(よく乾燥させたもの)

道具
・ハサミ、ペンチ、霧吹き、洗濯バサミ(たくさん)、ゴミ箱など(帽子の型にするため)

⚫️つくり方

1、帽子の型となる物を用意する。
頭の一番大きいところのサイズを測り、それと同じぐらいのカタを用意する。この日は100円ショップなどのゴミ箱を使用。

 

2、帽子上部の中心から編み始める。
細めのがま(長さは120センチぐらい)を6本選び、葉の真ん中部分から、6角形の花のような形に組む。写真のくるみの皮の小物入れの底の中心と同じにするする。花のような形に。
がまを上下、互い違いできると、なお良い。

3、2で作った縦の6方向のがまに、それぞれ垂直に横のがまを5本ずつ、上と下を互い違いに
足していく。そうして円を大きくしていく。足していくだけで、まだ隣の垂直とは編んでいかない(頭のサイズによって、垂直に足す横のがまの本数は4本または6本にする)。

6方向に足していくので、がまが非常に混み合って混乱するため、中心に目印をつけるとわかりやすい。

途中経過の様子

 

4、6箇所全て、横を足したら垂直の隣同士の横のがまをVの字に編み込んでいく。
隙間が空いてくるので編んだら洗濯バサミで止める。

全て隣同士を編んでいくと下にようになる。

5、4でできたものを帽子の型(ゴミ箱を逆さにしたものなど)に乗せ、立体的に編んでいく。トップの大きさを確認し、最初に6角形の花を作った並行した2本同士をV字にキュッと編んでいく。対角線ごとに編んでいくと形が作りやすい。
最初の並行した縦の2本の右側部分は左へ編み込み、左部分は右に編み込んでいく。右左に引っ張ると編み目が垂直の面になって、帽子の側面が出来ていく。

6、ある程度側面の高さが出来てきたら型から外し、ツバ部分を編む。がまの葉先が細くなってきたら、新たながまを継ぐ(編み目を3つ4つ重ねて継ぎ足す)。切れたり、短いがまも同様に継ぎ足す。

理想の高さになったら帽子部分を押しながら、編んでいくと広がる。

7、仕上げ(折り返し)
ツバが編み上がってきたら、ツバの広さを決める。決めたらまず1箇所を折り返し、
45度くらいの折り返したほかのがまの編み目部分にかくすように編み込む。
3編み目ぐらい編み込むと丈夫になる。
(編んできた方向に戻ってしまうと縁がギザギザになってしまう)

まず1箇所が終わったら、同方向に編んでいるがまを一気に左回りに処理する。
印をマジックなどで着けて進めていくとわかりやすい。
終わったら右方向を一気に処理する。これで完成。

教えてくれた人/熊谷茜さん(kegoya)
県外から小国町へ移住。山の達人たちに教わったこの地に伝わる知恵や技術を、ゆるく若い人たちに伝えている。くるみやあけびのつる、がまの葉などの自然素材を収穫して、かごなどの生活用品を制作販売している。

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