柿渋染め
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山形の夏。暑い中、多くの作物が実りを進めている。
これは豆柿。
実が小さくて一般的な柿より渋みが強い。
熟れる前に収穫し、柿渋をつくる。
「柿渋」とは柿のタンニンを発酵させてつくる染料。
布だけでなく、木材も染められる。
そして高い防腐効果がある。
8月上旬の豆柿はタンニンが豊富で、良い柿渋ができる。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9025a-1540x1027.jpg)
山形県小国町。
みんなで豆柿を収穫し、
手分けして柿渋をつくる。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9176-1540x1027.jpg)
目の前はユウオン峰。
土色の岩壁がかっこいい。
いい風が吹いてくる。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9170-1540x1027.jpg)
子どもたちも遊びながら収穫に参加する。
いつか大人になったら、
この景色を思い出して欲しいな。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9138-1540x1027.jpg)
柿を青いうちに採ってしまうのは
とっても貴重で、贅沢なこと。
手入れをしない柿の木は上に上に伸び、
高いところの実はカラスの餌になり、
熊などの被害にもあいやすい。
だから収穫して食べたり、
柿渋をつくるって、大事なことなんだ。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9074-1540x1027.jpg)
kegoyaの熊谷茜さんは、小国町在住のかご作家。
地元の自然から材料を採取して
かごをつくっている。
柿渋は常時ストックしていて、
作品で使う紐などを染めている。
かごに直接塗っても防腐作用があり
長く使えるようになるそうだ。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/53C4343-1540x1027.jpg)
収穫した豆柿の色はアップルグリーン。
つややかに光って、とても美しい。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9151-1540x1027.jpg)
タンニンがたくさん出るよう、
小さめに切る。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9158-1540x1027.jpg)
一人でやると大変だけど
みんなでおしゃべりしながら作業すると
早く終わるんだよね。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9223-1540x1027.jpg)
切った豆柿を水にひたし、蓋をする。
これを熟成させる。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9111-1540x1027.jpg)
こっちは以前につくった柿渋。
直射日光に当たらないよう、
酒瓶に保存しているそう。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_0997-1540x1027.jpg)
熟成してから1年近く経った柿渋を
水で2倍に薄め、
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_1051-1540x1027.jpg)
染める。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_1223-1540x1027.jpg)
ぴかーんと晴れた夏の日は、絶好の柿渋日和。
柿渋染めは太陽によって色が定着するので
「太陽染め」とも呼ばれている。
最初は淡い色なんだけれど、
毎日外へ出して、太陽の光を浴びさせると
色が濃くなってくる。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9199-1540x1027.jpg)
これは柿渋の原液をハケで塗って、
濃いめの仕上げ。
![柿渋染め](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/07/MG_9244-1540x1027.jpg)
このバッグは「液に浸して、太陽に当てる」を
何度も繰り返した。
太陽の光に当てることで、色が深くなる。
古くから受け継がれてきた柿渋染め。
火を使わず、
媒染や色止めがいらないから、
手軽にできる。
素材や染め方を工夫することで、表情の違いを楽しむことができる。
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柿渋染め
昔は家庭でも柿渋をつくる習慣があった。仕込みをするのは柿が青い8月ごろ。つくって1年ぐらいから使えるが、2~3年経った物の方が、濃く染めることができる。仕込み時や染めるときは、タンニンが反応するので、銀製の指輪などは外すこと。
⚫️材料
・豆柿、または渋柿(8月上旬に収穫できる青いもの)。量が多いほどたくさんできる。
・水(できれば水道水でないもの、井戸水や川の水などの薬品を含んでいないもの)。
・長時間保存するためのかめ、木の樽、バケツ。
⚫️つくり方
1.収穫した柿を小さく切る(タンニンがたくさん出るようブレンダーで細かくしたり、杵と臼ですりつぶしても良い)。
※柿の液は手に着くと、樹脂のようにカピカピになり、その後黒くなるので、ビニール手袋をつけるのをおすすめします。
※包丁は鉄製だと錆びるので、ステンレス製を。使い終わったら柿渋の成分が固まってしまうので、とにかく丁寧に洗いましょう。
2.バケツに柿を入れ、水をひたひたになるまで入れる。蓋をして冷暗所で1年ほどそのままに。たまにかき混ぜると、カビが生えにくくなる(忘れても大丈夫!)。
*仕込み具合を確認できるよう、別の柿で仕込んだもので観察しました。
仕込んだ直後
2日後
2週間後
1ヶ月後
約1年後
3.1年ほど経ったら、上の硬い部分を剥がして柿渋を取り出す(その際、ザルや布であまり余計な物が入らないようにこす。こした布も柿渋で染まる)。
4.柿渋だけを瓶に入れて保存する。2~3年そのままにしておいても良い。量はだいぶ減る。
5.柿渋で染めるときは、瓶やカメから柿渋を出すときにさらにザルや布でこすと良い。
6.染める服や布はあらかじめ濡らし、繊維を水で満たしておく。
7.柿渋に水を適量入れる。
8.布を柿渋に浸し、その後、絞る。
9.太陽の光に当てて乾かす。柿渋は太陽光で定着する。最初はうっすらしか色がつかなくても、翌日、翌々日と太陽光に当てていると、段々と濃くなる。薄めた柿渋はとっておいて、何度も使える。「柿渋液に浸し、太陽の光に当てて干す」を何度も繰り返して濃い色にすることができる。洗濯して液を落とすと、色の変化は止まる。
教えてくれた人/野崎奈都子さん、熊谷茜さん、高橋安以子さん(写真左から)
小国町に移住してきた3人は、移住してきたばかりの頃、山の達人にこの地に伝わる知恵を、いろいろ教わったそう。「それをゆるく若い人たちに伝えるのが私たちの使命」と話してくれた。左の2人は柿渋で染めたのを身につけて来てくれた。
野崎奈都子さん/野菜や米の栽培のほか、パンや食糧加工品・自然素材のかごつくりなどを行っている。かなりの料理上手。
熊谷茜さん/くるみやあけびのつる、ガマの葉などの自然素材を収穫して、かごなどの生活用品を制作販売している。
高橋安以子さん/森林の多さに注目し小国町に移住。木質ストーブとペレットの仕事を行っている。柿渋などの染め物の上級者。
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