かてごと帖

納豆あぶり餅

納豆あぶり餅

竹串に餅を刺し、囲炉裏(いろり)でじっくり焼く。
片面が焼けたら裏も焼く。
1時間ほど繰り返すと
焼き色がついて、ぷーっとふくれてきた。
それにふーふーと息をかけ、はふ、はふっと食べる。

納豆あぶり餅

うまぁい。そして、この焼き色。

納豆あぶり餅

焼き立ての香ばしさは、まるで醤油煎餅。
なかはとろんとした餅。
こんな食べ方があったなんて。

納豆あぶり餅

囲炉裏ってすごいな。
「家族においしく食べさせてたい」っていう
お母さんたちの知恵ってすごい。

納豆あぶり餅

ここは山形県上山市。山にはまだ雪が残っている。

納豆あぶり餅

旅籠だった大黒屋には
囲炉裏があり、納豆あぶり餅が食べられる。

納豆あぶり餅

まず餅をついて

 

納豆あぶり餅

納豆餅をつくる。

納豆あぶり餅

それを一晩寝かせる。
味よ、染み込んでおくれ。

納豆あぶり餅

特製の竹串には、竹の節を利用した「餅だまり」がある。
これが大事なポイント。

納豆あぶり餅

餅を手づくりの串に刺す。

納豆あぶり餅

パチッパチッ
今度は静かなおいしそうな音。
納豆の大豆がすーっと、すべり落ちていく。

納豆あぶり餅

焼けてきたら、さらに餅を火に近づける。

納豆あぶり餅

いい匂い。

納豆あぶり餅

かつて羽州街道の宿場町だった楢下。
江戸から入る場合は、宮城の七ヶ宿から金山峠を通って楢下宿に入り、上山へ。
金山峠は標高が低いことから、使いやすい経路だったため、
庄内藩や秋田佐竹藩など、日本側の十三の藩が楢下宿を利用した。
小規模な集落ながら、楢下は宿場町として栄えた。
今も街並みが残されている。
今も地域の中で醤油屋、豆腐屋、こんにゃく屋が営業しており、
それを使った豊かな食文化が守られている。

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納豆あぶり餅

囲炉裏でつくる納豆あぶり餅。ごちそうのなかった時代、甘い餅は人気があり、残ってしまいがちだったのが納豆餅。「それをいかにおいしく食べるか」とつくられたというレシピ。昔の人々は手間暇をいとわず、囲炉裏でじっくり焼くことで、うま味が詰まった冬の御馳走に仕上げた。

⚫️材料(串20本分)

・餅米  4合
・納豆  1パック(90g)
・ねぎ  適量
・醤油  70cc
・だし醤油 50cc

⚫️つくり方

1.餅米を一晩水につけ、水気を切る。電動餅つき機で餅をつく。


2.ねぎを刻む。

3.納豆と刻んだネギを混ぜる

4.3の納豆とねぎに、醤油とだし醤油を加え、よく混ぜる

 

5.餅ができたら、こぶしの半分くらいのサイズにちぎる。餅はひっぱるのはOKだけれど、継ぎ足しはしない(焼いている途中に、割れてしまうため)。餅を納豆醤油汁につける。餅はすべて同じくらいのサイズにして、納豆醤油汁にひたして、バットに並べる。(一人がちぎり、もう一人が並べると、サイズを揃えることができる)。

6.納豆醤油汁につけたまま、一晩置いて味を染み込ませる。

7.一晩置いて、硬くなった納豆餅を串にさす。

串には、餅が垂れてきた時のストッパーの役目となる、引っかかり(餅だまり)をつけると良い。

8.囲炉裏で(炭火で)、じっくり表と裏を1~2時間くらい焼く(焼き時間は周囲の気温によって変わる。気温が高ければもっと早く完成する)。焦げ目がついて、外側がパリッと硬くなったら完成。

 

教えてくれた人/佐藤道子さん

長井市生まれ、上山市在住。楢下宿のばあちゃんずクラブ代表。地元の旬の食材を使った季節の郷土料理グループとして活動している。拠点にしているのは旅籠だったという古民家「大黒屋」。囲炉裏が残っている。納豆あぶり餅を食べるには予約が必要。

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