和かんじき
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/DSF2565-1540x1155.jpg)
かんじきが完成した!
少し大変だったけど自分で手作りしたかんじき。
嬉しいな!美しいな!
2022年1月。今年はだいぶ降ったねぇ。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/DSF2578-1540x1155.jpg)
踏み跡のない、まっ白な平原。
ふかっ。ふかっ。
新雪の上を歩いても、足が沈まない。
どんどん歩ける。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/DSF2555-1540x1155.jpg)
降り積もった雪の上を歩くための「かんじき」。
雪国・山形に無くては、ならないものだった。
かんじきは土地により、
材料とする木が違うのだとか。
近年、その材料を確保するのが難しくなっている。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/DSF2582-1540x1155.jpg)
しん、として音のない世界。
かんじきがあれば、行けるよ。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/DSC06483-1540x1025.jpg)
かんじきの材料となるクロモジ。
クスノキ科の落葉低木で、
つまようじに使われたり、精油の原料になる。
講師の山口さんは「曲げやすくて、使いやすい」と
かんじきづくりにクロモジを使っている。
他にはツノハシガミも使うところがあるそうだ。
クロモジは、ひなたが好きな木。
日陰になると、細々として可愛そうな感じ。
山を伐採して日当たりが良くなると、
林の下で頑張っていた根っこが、ぐんと伸びてくる。
6~7年ぐらいで枯れるため、大木にならない。
南の斜面にあるのが良い。
林が混んでいる山には、いい木は少ない。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/MG_1022-1540x1027.jpg)
縦に切ったドラム鍋で湯を沸かし、
山で採ってきたクロモジを入れて煮る。
30分から1時間ほどで、柔らかくなる。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/MG_1050-1540x1027.jpg)
柔らかくなったクロモジを曲げ、U字型をつくる。
カンジキはU字型2つセットで片足分。
ゆっくりゆっくり、慎重に曲げる
幹の部分に、ヒビが入ると使えなくなってしまう。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/MG_1037-1540x1027.jpg)
山形県山形市の東沢古道保存会のかんじき教室。
夏にかんじきをつくり、
そのかんじきで、毎年雪山を歩いている。
かんじきのつくり方を教わった。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/MG_1059-1540x1027.jpg)
かんじきの前部分は比較的太いクロモジ、
後ろは細いクロモジを使う。
曲げたら、2週間以上乾燥させる。
すると、形が固定される。
クロモジの曲げ方はこちら!
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/MG_1215-1540x1027.jpg)
クロモジが十分乾いたら、爪をつける。
この爪はケヤキでつくられていて、
新潟の大工さんがつくってくれたもの。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/MG_1263-1540x1027.jpg)
2本のクロモジの間に、爪をしっかり固定する。
クロモジと爪を削って調整していく。
削って合わせ、削って合わせ。
何度も繰り返す。
仕上げ、紐を取り付ける。
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/53C8975-1540x1027.jpg)
山形県上山市蔵王山頂。
この日はマイナス12度。吹雪。
待ちに待った、かんじきデビュー!
![和かんじき](https://kategoto.com/wp-content/uploads/2022/01/53C8980-1540x1027.jpg)
樹氷原(じゅひょうげん)を自分の足で歩いてる!
しかも、自分でつくったかんじきで。
うん、なかなかいけてる
作り方を見る作り方を閉じる
和かんじき(クロモジ)
山形の冬には欠かせない。
最近ではプラスチックや金属の物もあるが
木の手づくりのかんじきは
触っても冷たすぎないし
修理をしながら長く履くことができる。
⚫️材料
・クロモジの木4本分
(曲げるとヒビが入りやすいので、念のため
もっとあると良い)
・ビニール紐 適当な長さ2本
(曲げた形を固定するため)
・爪2つ
(今回はケヤキで用意して頂いたが、
ない場合は材木から作る)
・紐 6メートル×2本
(かんじきと靴を固定させるため)
⚫️つくり方
1.クロモジの枝をお湯で30分から1時間
温める。
(今回はドラム缶の半分の大きさに
下からガスで火をつけてお湯を沸かした。
薪でも大丈夫)
2.かんじきの前側にくるパーツをつくる。
比較的太めのクロモジを曲げ、
アルファベットのU字型にする。
(床に置くと、平らになるように曲げていく)。
フシがあると曲がりやすいので慎重に
曲げていく。
曲げたらビニール紐で広がらないように
固定する。前2本、後ろ2本つくる。
後ろは前側より細い木で良い。
前よりも少し小さくつくる。
木の皮を剥く(ノコギリの背で削ると良い)。
出来たら、最低2週間乾燥させる。
3.十分に乾燥したら、
固定していたビニール紐を外す。
前のU字型と後ろのU字型で
かんじきの全体の大きさを決める。
爪先がかんじきに入る大きさになれば良い。
サイズが大きいほど歩きづらいが、
雪上では重さが分散して効果的。
(参考までに足の大きさ24㎝の私は
かんじきの全長を40㎝にした)。
まず前を逆U字型に置き、
後ろを前の内側にU字型におく。
全体で大体40㎝前後。
前と後ろの木の重なりが長いほど丈夫になる。
重なる部分、カーブ(アール)にかかる部分を
ノコギリで切る(内側だけ)。
4.爪をつける。
全体のちょうど半分になる位置に爪をつける。
前すぎたり、後ろすぎると
歩きずらくなる。
爪は前の木と後ろの木の間に入れる。
ツメの上は木から約1㎝出す。
隙間があかず、しっかり密着するように
木や爪を削る。
内側にある後ろの木は外側を、
外側にある前の木は内側を削る。
削りにくいので、ノコギリで
何本も筋を入れてからノミで削ると
やりやすい。
木を削るのは幹の4分の1まで。
それ以上削ると強度が弱くなる。
細い木の場合は削らず、爪の方を削る。
5.爪がしっかり密着するようになったら
針金で止める。
片足につき合計8箇所。
ハリガネの上にビニールテープを貼る。
6.片足につき6メートルの紐を取り付ける。
やり方は本文の動画を参照。
教えてくれた人/山口勝美さん
日本山岳ガイド協会認定ガイド
蔵王山岳インストラクター協会会員
山形県自然公園管理員
蔵王にあるロッジアンティロープオーナー
父親がかんじきをつくる姿を見て、
いつの間にか覚えてしまった。
山形県上山市出身。
教えてくれた人/横山隆則さん
山形市東沢地区は山伏が修行をした
蔵王山の登り口にあたる。
登山道(古道)の必要最小限の整備を行いながら
標柱や案内板を設置したり、登山道周りの草刈りや
枯枝除去などの活動を行っている
「東沢古道保存会」の会長。
https://zaokodo.jp/
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