かてごと帖

和かんじき

和かんじき

かんじきが完成した!
少し大変だったけど自分で手作りしたかんじき。
嬉しいな!美しいな!

2022年1月。今年はだいぶ降ったねぇ。

和かんじき

踏み跡のない、まっ白な平原。
ふかっ。ふかっ。
新雪の上を歩いても、足が沈まない。
どんどん歩ける。

和かんじき

降り積もった雪の上を歩くための「かんじき」。
雪国・山形に無くては、ならないものだった。

かんじきは土地により、
材料とする木が違うのだとか。
近年、その材料を確保するのが難しくなっている。

和かんじき

しん、として音のない世界。
かんじきがあれば、行けるよ。

和かんじき

かんじきの材料となるクロモジ。
クスノキ科の落葉低木で、
つまようじに使われたり、精油の原料になる。

講師の山口さんは「曲げやすくて、使いやすい」と
かんじきづくりにクロモジを使っている。
他にはツノハシガミも使うところがあるそうだ。

クロモジは、ひなたが好きな木。
日陰になると、細々として可愛そうな感じ。
山を伐採して日当たりが良くなると、
林の下で頑張っていた根っこが、ぐんと伸びてくる。
6~7年ぐらいで枯れるため、大木にならない。
南の斜面にあるのが良い。
林が混んでいる山には、いい木は少ない。

和かんじき

縦に切ったドラム鍋で湯を沸かし、
山で採ってきたクロモジを入れて煮る。
30分から1時間ほどで、柔らかくなる。

和かんじき

柔らかくなったクロモジを曲げ、U字型をつくる。
カンジキはU字型2つセットで片足分。
ゆっくりゆっくり、慎重に曲げる
幹の部分に、ヒビが入ると使えなくなってしまう。

和かんじき

山形県山形市の東沢古道保存会のかんじき教室。
夏にかんじきをつくり、
そのかんじきで、毎年雪山を歩いている。

かんじきのつくり方を教わった。

和かんじき

かんじきの前部分は比較的太いクロモジ、
後ろは細いクロモジを使う。
曲げたら、2週間以上乾燥させる。
すると、形が固定される。

クロモジの曲げ方はこちら!

和かんじき

クロモジが十分乾いたら、爪をつける。
この爪はケヤキでつくられていて、
新潟の大工さんがつくってくれたもの。

和かんじき

2本のクロモジの間に、爪をしっかり固定する。
クロモジと爪を削って調整していく。
削って合わせ、削って合わせ。
何度も繰り返す。

仕上げ、紐を取り付ける。

和かんじき

山形県上山市蔵王山頂。
この日はマイナス12度。吹雪。
待ちに待った、かんじきデビュー!

和かんじき

樹氷原(じゅひょうげん)を自分の足で歩いてる!
しかも、自分でつくったかんじきで。
うん、なかなかいけてる

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和かんじき(クロモジ)

山形の冬には欠かせない。
最近ではプラスチックや金属の物もあるが
木の手づくりのかんじきは
触っても冷たすぎないし
修理をしながら長く履くことができる。

⚫️材料

・クロモジの木4本分
(曲げるとヒビが入りやすいので、念のため
もっとあると良い)

・ビニール紐 適当な長さ2本
(曲げた形を固定するため)

・爪2つ
(今回はケヤキで用意して頂いたが、
ない場合は材木から作る)

・紐 6メートル×2本
(かんじきと靴を固定させるため)

⚫️つくり方

1.クロモジの枝をお湯で30分から1時間
温める。
(今回はドラム缶の半分の大きさに
下からガスで火をつけてお湯を沸かした。
薪でも大丈夫)

2.かんじきの前側にくるパーツをつくる。
比較的太めのクロモジを曲げ、
アルファベットのU字型にする。
(床に置くと、平らになるように曲げていく)。
フシがあると曲がりやすいので慎重に
曲げていく。

曲げたらビニール紐で広がらないように
固定する。前2本、後ろ2本つくる。
後ろは前側より細い木で良い。
前よりも少し小さくつくる。

木の皮を剥く(ノコギリの背で削ると良い)。

出来たら、最低2週間乾燥させる。

3.十分に乾燥したら、
固定していたビニール紐を外す。

前のU字型と後ろのU字型で
かんじきの全体の大きさを決める。
爪先がかんじきに入る大きさになれば良い。
サイズが大きいほど歩きづらいが、
雪上では重さが分散して効果的。
(参考までに足の大きさ24㎝の私は
かんじきの全長を40㎝にした)。

まず前を逆U字型に置き、
後ろを前の内側にU字型におく。
全体で大体40㎝前後。
前と後ろの木の重なりが長いほど丈夫になる。
重なる部分、カーブ(アール)にかかる部分を
ノコギリで切る(内側だけ)。

 

4.爪をつける。
全体のちょうど半分になる位置に爪をつける。
前すぎたり、後ろすぎると
歩きずらくなる。

爪は前の木と後ろの木の間に入れる。
ツメの上は木から約1㎝出す。
隙間があかず、しっかり密着するように
木や爪を削る。

内側にある後ろの木は外側を、
外側にある前の木は内側を削る。

削りにくいので、ノコギリで
何本も筋を入れてからノミで削ると
やりやすい。

木を削るのは幹の4分の1まで。
それ以上削ると強度が弱くなる。
細い木の場合は削らず、爪の方を削る。

 

 

5.爪がしっかり密着するようになったら
針金で止める。
片足につき合計8箇所。

ハリガネの上にビニールテープを貼る。

6.片足につき6メートルの紐を取り付ける。
やり方は本文の動画を参照。

 

教えてくれた人/山口勝美さん
日本山岳ガイド協会認定ガイド
蔵王山岳インストラクター協会会員
山形県自然公園管理員
蔵王にあるロッジアンティロープオーナー
父親がかんじきをつくる姿を見て、
いつの間にか覚えてしまった。
山形県上山市出身。

教えてくれた人/横山隆則さん
山形市東沢地区は山伏が修行をした
蔵王山の登り口にあたる。
登山道(古道)の必要最小限の整備を行いながら
標柱や案内板を設置したり、登山道周りの草刈りや
枯枝除去などの活動を行っている
「東沢古道保存会」の会長。
https://zaokodo.jp/

 

 

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