干し柿
山から里へ、木々の紅葉が下りてくる十一月。
山形県上山市では、
たくさんのだいだい色の、のれんが下がる。
色鮮やかな、だいだい色の風景。
蔵王からの風が吹いて
干し柿ができあがる。
ここは上山市相生。
晴れ渡った青空の元、
干し柿づくりが行われている。
これは、地元でしか
生産されていない紅柿。
作業は手分けして、進められる。
皮むきは機械を使って。
しゅー。皮が空中を飛んでいく。
その後は
ひとつひとつ、ヘタをひもに通し、
トラックで運ぶ。
「秋の陽は1週間」。
晩秋の天気がいい日は
1週間分の仕事が出来るという
意味だと教えてもらった。
みなさん、すごく働く。
蔵王連峰から吹き抜ける
冷たく乾いた風が、柿の甘みを凝縮させる。
紅柿の干し柿は、実に赤い色が残るのが特徴で、
雨が多いと、実が大きくなり、
夏の日照があれば、甘くなる。
こうして出来上がる
晩秋の風物詩、柿のれん。
干して2週間後、
そのまま食べてもおいしいが、
干し柿は料理になっていた。
干し柿の天ぷら。
くるみと柚子を巻き込んだ
干し柿巻き。
干し柿の白和え。
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干し柿の天ぷら
クリームチーズを入れることで、切った断面が紅白に。お正月のデザートにもいい。
●材料(つくりやすい分量)
・干し柿 3個90g
・クリームチーズ 30g
(その他に天ぷらの材料)
●つくり方
1.干し柿のヘタを落とし、スプーンを使って種をくり抜く。種がなかったら、干し柿の中を広げる。
2.クリームチーズをスプーンでくり抜き、干し柿の中へ入れる。
3.天ぷらを揚げる要領で、衣をつける。
4.油で揚げる。衣に火が入ったらOK。干し柿が甘いので、焦げないように注意を。2つに割って盛り合わせるとキレイ。
干し柿巻き
干し柿を巻くのではなく、干し柿で巻くのがポイント。たくさん出来すぎた干し柿を、お菓子のようにしていただきます。おもてなし料理にもどうぞ。
⚫️材料(つくりやすい分量)
・干し柿 8個240g
・ゆず 適量
・くるみ 6g
⚫️つくり方
1.干し柿のヘタを落とし、切り開いて薄くのばす。
2.のり巻き用の巻きすの上に、サランラップを敷く。
その上に干し柿が均一の厚さになるように置き、麺棒で薄く(5㎜以下に)のばす。
(麺棒に干し柿がくっつくので)サランラップを敷いてから麺棒でのばす。
3.ゆずの皮をスライサーで削り、千切りする。くるみを適当な大きさに切る。
4.2の上に(海苔巻きの要領で)、ゆずとくるみを置き、巻きすで巻く。
5.巻きすを外し、サランラップの上から切る。
ポイント:
ゆずが多すぎると、ゆずの香りが勝ってしまうので、少量に。4のままサランラップに包んで冷凍・冷蔵保存が可能。
干し柿の白和え
水抜きした豆腐でつくる白和えを、楢下宿で製造されている粟野豆腐の「厚揚げ」を使ってつくる。
フードプロセッサーがなければ、すり鉢を使って。干し柿が入るので、和え衣には砂糖を使わない。
●材料(つくりやすい分量)
干し柿 2個60g
楢下厚揚げ 2枚110g(水抜きした豆腐で代用を)
春菊 50g
くるみ 大さじ2
ねりごま 小さじ1
薄口しょうゆ 大さじ1.5
みりん 大さじ1
⚫️つくり方
1.春菊をさっとゆでて、水にさらす。水分をきり、しょうゆ適量(材料外)をたらしてからしぼる。
2.干し柿を1.5㎝に切る。
3.楢下厚揚げの、油で揚げた部分を切り、とりのぞく。
4, フードプロセッサーに3、くるみ、ねりごま、薄口しょうゆ、みりんを入れて混ぜ、あえ衣をつくる。
フードプロセッサーでなく、すり鉢でもOK。
5.4のあえ衣に干し柿と春菊をあわせて、出来あがり。
ポイント:
1で取り除いた厚揚げは、白菜汁や味噌汁などに入れます。
教えてくれた人/佐藤道子さん
長井市生まれ、上山市在住。楢下宿のばあちゃんずクラブ代表。地元の旬の食材を使った季節の郷土料理グループとして活動している。拠点にしているのは旅籠だったという古民家「大黒屋」。茅葺屋根、囲炉裏をかこんで食事ができる。
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