かてごと帖

くじら汁(山の里編)

くじら汁(山の里編)

今日は長靴を履いて、山へ。
里山のくじら汁に欠かせない、
山菜のみず探しに行く。

きれいな小川がある。

くじら汁(山の里編)

ここは山形県西置賜郡小国町。
立派な木がある、ゆたかな森の中。
陽が射さないから、
草の背丈が低い。

くじら汁(山の里編)

なかなか見ることの出来ないトンボを発見!

くじら汁(山の里編)

小さな沢があり、その湿地にみずが自生している。
ここのみずは根が赤い。
赤いからアカミズ。
気がつけばだいぶたくさんある。
あれも、これもみず。

引っ張ると、すっと簡単に抜けた。

くじら汁(山の里編)

沢でじゃばじゃばと、みずの根っこを洗う。

くじら汁(山の里編)

新聞紙でまとめる。
千賀子さんのところに持って行こう。

くじら汁(山の里編)

くじら肉と新じゃが、それとみずで、
くじら汁を教えてもらうんだ。
千賀子さんのくじら肉は、
家に泊った方にいただいた物なんだって。

くじら汁(山の里編)

千賀子さんはさっそく、下処理の仕方を教えてくれた。

採ってきたばかりの
みずの葉を手で取り除く。
根を切り落とし、5~6本一緒にして、
くきの部分を手でねじ切った。
包丁は使わない。

くじら汁(山の里編)

「くきのところが、ぼさぼさになんべ。
やわらかくなって、味がしょむのよ(味がしみる)。

みずって堅いから。
めんどくせーなや、本当はな。
おらだは、こうするもんだって、やってっから。

めんどくさいもんだども、1年に1回は食べたいものなんだ」

このやり方、もんぎりみず、というらしい。

くじら汁(山の里編)

くじら汁の前に、もう一品教えてくれた。
赤い根っこの部分を小さくみじん切りにして、

くじら汁(山の里編)

きゅうりと、生姜を入れ、三杯酢で酢のものに。
シャキシャキして、とっても爽やか。

くじら汁(山の里編)

手でちぎったみずは、柔らかくなるまでゆでる。
やわらかくするために、重曹を入れてゆでる。

「スプーンの1/3入れて、かじくってみる。
堅かったら、また1/3入れて、かじる。
堅かったらまた、1/3入れて、かじる。
やわらかくなったら、ざるにあげる」

重曹が入りすぎると、やわらかくなりすぎてしまう。
ゆでると、赤い根は鮮やかな緑になった。

くじら汁(山の里編)

下準備を終えたみず。

くじら汁(山の里編)

2品目はくじら汁。
新じゃが、くじら肉の上にどっさりみずをのせ、
火を付ける。
水分はみずからたっぷり出てくる。

くじら汁(山の里編)

みずから水が出てくるのを
じっと待つ。

くじら汁(山の里編)

水分が足りなかったら、
少しずつ水を加えながら煮る。

くじら汁(山の里編)

私たちのほかに、小国町内の女性たちも来てくれて、
料理講習会のような雰囲気に。
千賀子さんは全員分のお昼を用意してくれていた。

くじら汁、とび茸(とびたけ)のおふかし(蒸しおこわ)、
わらびの漬物、みずのしょぱ煮(だしと、しょうゆで煮たもの)、みずの酢の物、ぜんまいの煮物

旅館や食堂がない山里で、
この家は、こうしてたくさんの人たちを、もてなしてきたのだろう。
千賀子さん家(ち)の歴史を感じる。

くじら汁(山の里編)

山菜のみずがたっぷり入った、くじら汁。

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くじら汁(山の里)

●材料(つくりやすい分量)
・くじら肉200g(塩漬け肉は、湯がいて塩気を落とす)
・じゃがいも中4個 500g
・みず1200g(下処理をしたもの)
・砂糖大さじ3~4
・味しょうゆ50cc
・味噌100g
・醤油
・化学調味料少々

●つくり方
1.くじら肉を小さく切る。じゃがいもを適当な大きさに切り、鍋に入れる。

2.その上にみずを入れ、味しょうゆ、砂糖、化学調味料を入れて煮る。

3.みずから水分が出てくるので、様子を見ながら、水を入れる。(この日は、250cc、250cc、150ccと加えていった)

4.味噌を加える。

5.じゃがいもが煮え、汁全体が煮あがったら出来上がり。味を引きしめたいなら、しょうゆを加える。

須貝千賀子さんプロフィール/
小国町叶水在住。近くに基督教独立学園があり、近隣には宿泊や飲食ができる施設がないため、学園の関係者の滞在をサポートしてきた。山菜を使った料理はもちろん、天火(オーブン)でつくる洋菓子なども得意。

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